• No.3571
  • 料理・グルメ

いももち (和歌山県/南部地域)

熊野灘沿岸は背後に山が迫り、米作りに適する土地は多くありません。さつまいもは、赤土の平見(台地)で作りやすく、甘みの強いものができます。かつて東牟婁海岸地域の日々の食事はさつまいもと麦が中心でした。いももち、うけじゃ、の他に芋入りごはん、ゆで干し芋、ほしごのもち等もあります。

出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/imomochi_wakayama.html)

熊野灘沿いの地域では、海沿いに少しの平野が開け、その背後にはすぐ山が迫っているため、稲作に適した平地が少ない。一方さつまいもは、赤土の台地でもつくりやすく甘みが強いものができるため、麦とともに栽培が盛んで、米に代わる主食として毎日の食事で食べられていた。いももちは、より少ないもち米で餅をつくる知恵から生まれた。
熊野地方でさつまいも栽培がはじまったのは江戸時代である。串本に住む植松弥助が九州の日向に赴いた際にさつまいもという芋が美味しいことを知り、串本に持ち帰った。栽培してみると、紀州の気候風土がさつまいもに適しており、たくさん収穫でき、また貯蔵もできることから県南部地域の各地に広まっていったとされている。当時は、藩の利益を守るために苗木や栽培方法を外部に出すことは禁じられており、外部の人間が持ち帰ることは容易なことではなかった。そうした時代背景の中で遠く離れた県南部地域にさつまいもを持ち帰った植松弥助は、没後その功績を讃えられ、明治時代に和歌山県知事から表彰されている。
「いももち」の他にも、つぶしたさつまいもにお茶をかけて食べる「うけじゃ」、「いも茶がゆ」、「芋入りごはん」、「ゆで干しいも」など、さつまいもを使った郷土料理は多い。

2014/7/1 14:26:18 登録 2024/5/4 9:42:58 更新

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いももち

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