- No.7274
- 菓子・甘味
そらきたもち (大分県/姫島村)
出典:農林水産省Webサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sorakitamochi_oita.html)
「やせうま」や「じり焼き」、「ゆでもち」など、小麦粉を原材料とする郷土菓子が多く伝わる大分県。その理由は、古くから根づいてきた粉食文化にある。台地が発達している大分県では、米づくりに適さない土地が多かった。各地で水路が整備されるようになってからは、畑作による麦の栽培が発展する。そこから、小麦粉が料理に活用されるようになり、郷土菓子や郷土料理へと定着していった。
「そらきたもち」は、瀬戸内海西端に浮かぶ離島・姫島に古くから親しまれてきた郷土菓子である。姫島は、国東市(くにさきし)の伊美港からフェリーでおよそ20分。古事記に収められた神話の一つ「国生み」のなかで、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)が生んだ女島は、この姫島にあたると伝わっている。周防灘(すおうなだ)を臨む姫島近海は、好漁場になっており、タイやタコ、車エビ、スズキなど豊富な魚介が水揚げされる。
海に囲まれた姫島では、米が育たずその代わりに小麦粉やさつまいもがよくつくられた。そのような環境でつくられた手ごろなおやつといえる。そんな姫島村で親しまれてきた「そらきたもち」は、柔らかくゆでたさつまいもを潰し、半分は小麦粉をまぶし入れ、火にかけて練って皮にする。残りのさつまいもは砂糖を加えあんにして、包んだものである。蒸す作業がいらないため、調理時間を短縮できる。そのため、急な来客があっても、「そらきた!」というぐらいすぐにつくれることから、「そらきたもち」という名になったといわれる。昔は、どんな家でもさつまいもを湯がいて置いてあったことも、すぐにつくれる理由の一つである。
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2024/5/10 9:14:32 登録 2024/5/10 9:14:57 更新
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